なんでも相談室 その3
「朝起きるのがつらくてたまりません。 夜はきちんと眠っているのですが、眠くて起きられません。 昼間も眠くて、授業中に居眠りをしてしまいます。 休日は一日中眠っています。 病院に行きましたが、眠りが浅いのではないかといわれ、睡眠薬を処方されただけです。 薬を飲んでも効果がありません。 最近は、学校も休みがちです。出席日数不足で留年しそうです。 どうしたらいいでしょうか。」 「いつ頃からそんな状態になったのですか?」 「3ヶ月前からです。」 「その頃何か変わったことがありませんでしたか?」 「ぼく自身には何も変わったことはありません。」 「周囲になにか変わった出来事がありませんでしたか?」 「転校生が一人来ましたが・・・それぐらいです。」 「その転校生はどんな人ですか?」 「すごい勉強家で成績はトップです。根津君というのですが、毎晩寝ずに勉強しているという噂です。」 「わかりました。その根津君が君の眠りを吸い取っているのです。 世の中には『すいとりマン』という者が存在します。 これは、他人の努力の成果などを吸い取ってしまう超能力者です。 『すいとりマン』はスポーツ界や芸能界に多く生息しています。 ろくに練習をしないのにめざましい成果をあげている人は、たいてい『すいとりマン』です。 私は『すいとりマン』にとりつかれて破滅した音楽家を何人も知っています。 学生の『すいとりマン』は他人の勉強の成果を吸い取るのが普通ですが、根津君という人は心から勉強が好きなのでしょう。なので、君の睡眠を吸い取って、夜も寝ずに勉強しているのです。 これは非常に珍しいケースですが、十分にあり得ることです。」 「そんなこと、とても信じられません。」 「私の言うことを疑うなら、ひとつ実験をしてみたらいかかでしょう。 夜眠らずに学校へ行き、根津君を観察するのです。きっと根津君に異変が起こるでしょう。」 ---------------------------------- 3日後 「先生のおっしゃるとおりでした。 コーヒーをがぶ飲みして眠いのを我慢し、一晩眠らずに学校へ行きました。 根津君は顔色が悪く、ぼんやりとした様子でした。 次の日も、ネットで入手したリタリンを飲んで、眠らずに学校へ行きました。 根津君は苦しそうにしていました。そして何と授業中に居眠りをしたのです。 あの勉強家の根津君が居眠りをするとは信じられないことです。 先生も級友もびっくりしていました。 次の日も、繁華街の路地裏で手に入れた覚醒剤を飲んで、眠らずにがんばって学校へ行きました。 するとどうでしょう。根津君は学校を休んだのです。 インフルエンザで40度の熱があっても、がんばって学校に来ていた勉強家の根津君がです・・・ 根津君がぼくの眠りを吸い取っていたのは間違いありません。 ぼくはこれからどうしたらいいでしょう?」 「お気の毒ですが、君に取り付いた『すいとりマン』を除去する方法はありません。 勉強の成果を吸い取る『すいとりマン』なら、君が勉強をやめてしまえば、あきらめて君から離れて、別の人に取り付くでしょうが、睡眠をやめることはできませんから、根津君は死ぬまで君に取り付いて離れないでしょう。 根津君を殺すのが一番の解決策ですが、それがいやなら、君の分と根津君の分あわせて1日16時間眠るライフスタイルを確立することです。 今から短時間で高収入の得られる職業を探しましょう。」 スポンサーサイト
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某社の新製品ソフトウエアに、重大な問題があることが明らかになりました。
ある操作をすると、下品なオヤジが嬉々とした表情で札束を数えるアニメーションが出現し、それと同時にハードディスクが初期化されてしまうのだそうです。 これは大変なことです。 某社のサポート部門には、問い合わせや苦情の電話が殺到し、パニック状態になりました。 サポート部門主任の荒熊氏は、徹夜続きで真っ赤な目をして電話の応対に追われています。 さすがの体力自慢の荒熊主任も、鳴り止まぬ電話にキレてしまい、受話器を取り上げて大声で叫びました。 「おかけになった電話番号は現在使われておりません。 もう一度火の元を確かめておやすみください。」 荒熊主任は高校・大学と応援団に所属し、毎日蛮声を張り上げていましたので、声量は半端ではありません。 電話の相手はさぞかし驚いたことでしょう。ショックで卒倒したかもしれません。 荒熊主任は次から次へと受話器をとって 「おかけになった電話番号は現在使われておりません。 もう一度火の元を確かめておやすみください。」 と叫び続けます。 同僚は驚きあきれて、ぽかんと口をあけてながめているばかりです。 テレビでは、某社の社長の記者会見が放映されています。 利益追求のあまり、品質管理をないがしろにした企業体質が厳しく追及されています。 社長はマイクを前に泣きながら叫びました。 「これはイルミナティの仕業です。 フリーメーソンの陰謀です。 スカル・アンド・ボーンズも一枚かんでいます。 我が社に落ち度は微塵もありません。 むしろ我が社こそが被害者なのです。」 記者は驚きあきれて、ぽかんと口をあけてながめているばかりです。 |
富山驕子は高級車を運転して、郊外の友人宅へ出かけた。
普段は運転手付高級車の後部座席にふんぞりかえっているのだが、この日は運転手が急病になってしまったため、自ら慣れないハンドルを握っているのだ。 筆者は車に全く興味がないので、その車がどれほど高価なのかわからないが、とにかくすごい高級車なのだ。 さて、驕子の運転する超高級車は、住宅地の狭い路地へと入り込んでしまった。 どうやら道を間違えたらしい。 「やっぱりタクシーにするんだったわ。」 と悔やんだがもう遅い。 すると前方から古ぼけた軽自動車が進んできた。 「あぶない!衝突する」 驕子はあわててブレーキを踏んだ。 衝突はまぬがれたものの、道幅は狭く、すれ違うことはできない。 驕子は、相手の車にバックするよう手で合図をした。 しかし、相手の車はその合図に従わない。 運転しているのは、凶悪な顔をした貧しそうな老爺である。 驕子は再度バックをするよう合図をした。 老爺はふんぞりかえってこちらを睨んだまま動こうとしない。 「生意気な貧乏人ね!」 驕子は怒ってクラクションを鳴らした。 すると老爺も負けじとクラクションを鳴らした。 こうして狭い路地でクラクションの応酬が始まった。 クラクションの応酬は延々と続いた。 そこは静かな住宅地である。 住民は何事が起こったのかと、路地に飛び出して来た。 2台の車は睨み合ったまま、クラクションを鳴らし続ける。 住民はクラクションをやめろと抗議したが、二人ともふんぞりかえってクラクションを鳴らし続ける。 窓を叩いて抗議しても、知らん顔でクラクションを鳴らし続ける。 住民はたまりかねて警察に通報した。 しばらくして警察官がやってきた。 驕子は警察官に向かって叫んだ。 「私を誰だと思っているの。 富山財閥夫人ですわよ。 弁護士を呼びます。 弁護士が来るまで何も言いません。」 「まあ、奥さん、とにかくバックして道をあけてください。」 警察官は慇懃に驕子に言った。 驕子は怒った。 「なぜ?なぜ私が? 私の車は超高級車なんですわよ。 高い税金を払ってるんですわよ。 消費税も自動車税も重量税もたっぷり払ってるんですわよ。 優先権があるのは当然でしょ。 貧乏人は道を譲るのが当然でしょ。 なんで、私がバックしなきゃならないの。」 一方老爺の方は、警察官が何を言っても「ううっ、ううっ」とうなるばかりで言うことを聞かない。 クラクションを止めろと命じても「ううっ、ううっ」とうなるばかり。 ドアを開けろと命じても「ううっ、ううっ」とうなるばかり。 ああ、これが有名な「ううじじい」なのであった。 警察官は、この老爺には何を言っても無駄だと悟った。 やがて老爺の車のエンジンが止まった。 ガソリンが切れたようだ。 老爺の車は運転手を乗せたまま、レッカーで強制移動となった。 レッカーで移動中も、老爺はクラクションを鳴らし続けていた。 バッテリーが切れるまで、クラクションを鳴らし続けたのだ。 驕子は叫んだ 「ほーっほっほっほっ。勝ったわ。勝ったのだわ。」 |
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