【昔書いたバカバカしい文章を公開します】
超短編小説 国際長小便選手権 さあ、待望の国際長小便選手権大会が開幕しました。 世界から集まった120人の選手の堂々の入場行進です。 選手たちは、小便を限界までためて、内股でしずしずと入場してまいります。 股間を手で押さえている選手もいます。 ここで競技のルールを説明しましょう。 選手は小便を細く、長く、途切れずに放出して、放出時間の長さを競います。 小便が途切れるとその時点で競技は終了となります。 審判員はストップウオッチで放出時間を測定するのですが、正確さを期するため陰部に顔を近づけるので、しずくが顔にかかることもあり、なかなか大変な仕事です。 この大会も、数えて18回目になりました。 かつては「労働効率を低下させる長小便を競うなど言語道断」などと経済界から不当な圧力がかかり、競技会場の確保や開催経費の捻出に苦しんだ時代もありましたが、今では多くの企業の協賛を得て、世界の60カ国が参加する大イベントに成長しました。 おっ、日本期待の高橋真介選手が入場してまいりました。 客席から割れんばかりの歓声があがります。 高橋選手は、前回の大会では調整に失敗して、競技開始前に漏らしてしまい、涙をのんだのですが、高地トレーニングや海外遠征を積み雪辱に燃えています。 優勝候補はなんといってもインドのマハーブラッダ選手です。 マハーブラッダ選手は巨大な膀胱を持ち、ヨガの秘法により尿道括約筋を極限まで鍛え上げ、19分32秒という前人未踏の世界記録を保持しています。 さて、この競技はいままでは男性だけで行なわれてきたのですが、フェミニズム団体の圧力もあり、次期大会から女性の参加が認められることになりました。実に楽しみです。 現在、女性の参加に向けてルールの検討が行われていますが、競技姿勢を立位にするか座位にするかで紛糾し、調整役の元世界チャンピオンの重嵐審判委員長は、気の毒にもノイローゼになって、首吊り自殺をしてしまいました。 重嵐審判委員長の遺体は、発見時には死後10分以上経過していたのですが、まだ小便をしたたらせており、さすがは元世界チャンピオンと関係者は驚嘆したと伝えられています。 (2005.1,28) スポンサーサイト
|
【昔書いたバカバカしい文章を公開します】
超短編小説 魔ラソン アナウンサー 「さあ、大日本国際大マラソンの幕が切って落とされました。 世界各国から招待された50人の一流選手と、 国内の50人の有力選手が出場します。 また一般参加の500人の市民ランナーも参加しています。 解説は、無駄のない洗練された走りで一世を風靡した、 元オリンピック日本代表の背高さんです。」 解説者 「背高です。よろしくお願いします。」 ------------ CM -------------- アナウンサー 「10キロ地点を通過しました。 ジンジロ国のマージョリン選手、 スーダラ国のスイダララッタ選手、 ホンダラ国のホダカラ選手といった、 優勝候補の選手が先頭集団を形成しています。」 「おや?先頭集団に奇妙な走り方の選手が現れました。 日本舞踊のような手つきで「ひょっとこ」のように口をとがらせ、 腰を落として、ぴょんぴょん飛び跳ねながら走っています。」 解説者 「単なる目立ちたがり屋ですね。 あんな走り方ではすぐに消えますよ。 オープン参加とはいえ、けしからんことです。 まじめにやってほしいですね。」 ------------ CM -------------- アナウンサー 「20キロ地点を通過しました。 先頭は、依然として無名のひょっとこ選手です。」 解説者 「じきに消えます!無視しましょう。」 ------------ CM -------------- アナウンサー 「 30キロ地点を通過しました。 優勝候補のジンジロ国のマージョリン選手、 スーダラ国のスイダララッタ選手、 ホンダラ国のホダカラ選手らが激しく競っていますが、 大変申し上げにくいことには・・・ その前をひょっとこ選手が走っています。」 「おや、また奇妙な走り方の選手が先頭集団に現れました。 両腕をそろえて機関車の動輪のように回しています。 下あごを突き出して、息を吹き上げ、 『しゅっしゅっ』と声を出しながら走っています。 選手の名前は・・・ええと・・・・座戸別久です。」 解説者 「けしからん!ふざけとる!」 アナウンサー 「あっ、また新たに奇妙な選手が先頭集団に現れました。 体を横向きにして、腕と足を交互に交差させながら、 蟹の横ばいのように走っています。」 解説者 「・・・あれは、忍者の走り方です。」 アナウンサー 「えっ?」 解説者 「いや・・・・・」(赤面) 「うおおおっ!なんで変な連中が次々に出てくるんだ!」 マラソンを侮辱する気か!スポーツを愚弄する気か!」 アナウンサー 「背高さん!落ち着いてください! 全国に放送されているんですよ。」 ------------ CM -------------- アナウンサー 「40キロ地点を通過しました。 先頭は依然として、謎の3選手です。 他の選手は大きく引き離されてしまいました。 優勝争いは謎の3選手にしぼられました。」 解説者 「ああ、なんということだ・・・」 ------------------------------- そのころ陸上競技連盟の幹部は、この異常事態に対処すべく集まっていた。 かたわらには異形の祈祷師が控えている。 「困ったことになった。」 「あんなふざけた連中が上位を独占したら、陸上界のメンツは丸つぶれだ。」 「教育上も好ましくない。」 「こうなったら先生にすがるしかない。」 「先生、お願いいたします。」 「うむ」 と祈祷師はうなずいて、御幣を振って祈りはじめた。 「うーーーーーーー ホイヤー、ホダラー、ハーヒダラー、 ホイダラヘイダラハラハラヒー クチスチホクラスイホクニスイホー」 どんつく どんつく どんどんつくと太鼓が鳴りひびく。 すると、どうだろう。 3人の怪選手が、にわかに苦しみはじめ、泡を吹いて倒れてしまった。 ------------------------------ アナウンサー 「あっ、どうしたのでしょう、先頭の3選手が突然倒れました。 苦しそうにもがいています。」 解説者 「当然です! あんなふざけた走り方で42.195キロを走れるわけがありません。 マラソンは、私のように無駄のない、 洗練されたフォームで走らなければいけないのです!」 アナウンサー 「担架に乗せられています。どうやら重態のようです。」 解説者 「マラソンをなめるからそういうことになるんだ。 ざまあみろ。はっはっはっはっは。」 ------------------------------ こうして3人の怪選手はマラソン界から姿を消した。 しかし3選手は教育界に好ましくない影響を残した。 子供たちは、こぞって3選手の走り方を真似し、体育教師を悩ませたのである。 (2004..10.21) |
【昔書いたバカバカしい文章を公開します】
超短編小説 汚リンピック 某国の「殿下」がオリンピックのテレビ中継を見ている。 殿下の表情が険しい。 手にしたブランデーグラスが震えている。 テレビには、敗れた某国の選手のうなだれた姿が映っている。 殿下は叫んだ。 「大臣を呼べ!」 テレビで下品な放言を吐いている日本の元国会議員に似た、すんぐりむっくりとした大臣が、平身低頭でやってきた。 殿下は大臣を睨みつけて言った。 「我が国はかつては貧しかった。国民の大半が飢えていた。 そんな時代に、多くの名選手が国際試合で大活躍し、国民に勇気と希望を与えたものだ。 それが今は何だ。 我が国は豊かになったというのに、スポーツは弱くなった。今回のオリンピックでは、まだ一つのメダルもない。 このままではわが国の威信が著しく低下する。 いいか、必ずメダルをとれ、金メダルだ!」 ほうほうの体で殿下のもとを退出した大臣は、大慌てで国際電話で監督を呼び出した。 「おい監督! オリンピックも終盤になったのに、我が国には一つのメダルもない。 殿下は激しくお怒りだ。 なんとしてもメダルを取れ。金メダルだ!」 「無理です。もうメダルが期待できる選手は残っていません。」 「最終日のマラソンはどうだ。 有望な選手がいると聞いているが・・・」 「入賞は期待できますが、メダルは無理でしょう。」 「何をのんきなことを言っているんだ。 金メダルが取れなければ俺は銃殺だ。お前の命もないぞ。 手段は選ばん。特務機関を使うことを許可する。 なにがなんでも金メダルを取れ!」 監督のまぶたに妻子の姿が浮かんだ。 監督は覚悟を決めた。 かくしてマラソンが始まった。 マラソンコースから少し離れた路地に、大型の猟犬を連れた男がひそんでいる。 「うまくやれよ」と男はつぶやく。 「よし、行け!」 男は猛犬を放つ。 猛犬は勢いよく走り出す。 「ガウッ ガウッ」と吠えながら、係員を巧みにかわして、優美な肉体の黒人選手に襲いかかった。 劇画でおなじみの、冷たく鋭い目をした男が、スコープを覗いている。 男は狙いをさだめてライフルを撃つ。 背の高い白人選手がもんどり打って倒れた。 足首から血が流れている。 係員が駆け寄る。 「かまいたちだ・・・」 「気の毒に・・・」 ビルの屋上に男が身をひそめている。 男は、眼下のマラソンコースをまたぐ歩道橋を注視している。 「今だ!」 男は手にしたリモコンスイッチを押す。 歩道橋上で爆薬が炸裂し、歩道橋に取り付けられた標識が落下する。 標識は小柄で精悍なアジア人選手の頭を直撃した。 給水所である。 コップが並んでいる。 選手たちは次々にコップを取る。 数人の選手が飲んだ水を吐き出し、胸をかきむしって苦しむ。 毒が入っていたのだ。 スタジアムでは、やつれた顔の監督が、特務機関からの報告を聞いていた。 強敵は始末した。 あとはうちの選手の健闘を祈るだけだ。 某国の選手は、ふらふらになりながらも、先頭でスタジアムに戻ってきた。 監督は安堵のため息をついた。 しかし、すぐ後ろに、髪の薄い白人選手が迫っている。 白人選手の走りは軽快だ。 まずい! 抜かれる! 監督は飛び上がった。 「この野郎!」 と叫びながら監督はグラウンドに飛び降りた。 制止する係員を突き飛ばし、白人選手に飛びかかり、押さえ込む・・・・ 観客は総立ちで、この光景を呆然とながめているばかりであった。 「あの馬鹿・・・」 テレビを見ていた「殿下」は怒りに身を震わせた。 手にしたブランデーグラスを床にたたきつけ、叫んだ。 「大臣を呼べ!」 大臣は捕らえられ、ただちに銃殺に処せられた。 監督は、オリンピック開催国に亡命を求めたが認められず、数カ国を逃げ回ったあげくに捕らえられ、のこぎり引きの刑に処せられた。 (2004.10.30) |
| HOME |
|