Tさんは7人兄弟の末っ子として生まれました。
親は封建的な考え方の人で、目上の者には絶対服従が家訓でした。 そのため、Tさんは幼いときから兄や姉に威張られ、いじめられ、無理難題を押しつけられて、泣き泣き育ちました。 学校も「下級生は虫けら同然」という前近代的な校風でしたので、毎日上級生にぺこぺこして暮らしました。 こうして、Tさんは「年上は偉い」という観念に、骨の髄まで凝り固まってしまったのです。 Tさんは、年上になりたいと願いましたが、それはいくら努力しても不可能なことです。 兄はいつまでたっても兄です。先輩はいつまでたっても先輩です。 ならば、せめて外見だけでも年長者に見られるよう懸命に努力しました。 そして、ついに50歳にして70歳の風貌を手にすることに成功しました。 風貌ばかりではなく、物腰や思考までが老人そのものになってしまいました。 あわれなTさんは、当然のようにリストラされました。 解雇を通告した経営者に、Tさんはこう言ったそうです。 「年長者に対して、その口のきき方はなんだ!無礼者め」 スポンサーサイト
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