あまりの巨大さに到底上演は不可能とされた「一万人の交響曲」がついに上演された。
国王の在位何年目かの記念イベントだそうだ。 会場はあきれるほど巨大なホールである。 ステージは航空母艦の甲板のように客席にせり出している。 演奏者はプロ・アマの混成で、小学生から老人までの様々な人々で構成されている。 上演時間8時間という大曲のため、演奏者は順次入れ替わっている。 楽屋からステージへ向かう通路は、演奏者がひしめきラッシュ時の駅のようだ。 ステージへ登る階段で、出番の終わった女子高生の一団とすれ違った。 D管トランペットを持った子が泣きじゃくっている。重大なミスをしたのだろう。 私は第9楽章の16番ホルンを担当することになっている。 合唱団の人混みをかきわけ、やっと定位置についた。 私のパートは、低いC音(F管で1、3バルブを押さえた最低音)を8拍延ばして、8拍休む。それだけをずっと繰り返すというきわめて単調なものだ。 それを30分も続けるのだからたまったものではない。 20分経過したところで、トリップ状態になってしまった。 後ろの奏者に頭を叩かれて正気に戻るまで、しばらくの間でたらめな演奏をしていたらしい。 私はでたらめな演奏をした罰として、終演後の客席の清掃を命ぜられた。 清掃要員には、階段ですれ違った女子高生もいた。 出演者の演奏は逐一チェックされ、ミスをした者はリストアップされて罰を与えられるようだ。 上演は休憩なしで8時間に及び、その間観客は出入りや移動が禁止されていたので、客席には大小便が散乱して目も当てられない状態になっている。 あまりのひどさに主催者は、次回の上演では天安門広場方式を採用すると言っている。 次回って・・・ またやるのか? スポンサーサイト
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