その街をわたしは「たそがれの街」と呼んでいます。
なぜなら、いつ来てもその街は薄暗いからです。 たそがれの街は交通の要所で、世界各地に通じています。 長距離列車に乗れは、ビエンチャン経由でマンダレーまで行けます。 地下鉄に乗ればソウルがまで行けます。 電車に乗れば大阪まで行けます。 ジェットコースターに乗れば香港まで行けます。 その日、私は地下鉄でソウルへ行きました。 1時間ほど地下を走ってから、地上に出ました。 左手に海が見えます。右手は深い森です。 陽射しが強く、汗が吹出ました。 やがて、再び地下に入りました。 涼しくなったので、わたしは眠ってしまいました。 目がさめると、ソウルに着いていました。 いつのまにか夜になっていました。 ソウル駅は出口が二つあり、一方は盛り場に、一方は住宅街に出ます。 わたしは住宅街の方に出ました。 ぐねぐねと曲がる舗道を歩いて行くと、徐々に風景が変ってきました。 やがて、西洋の古都のような風情の一角にたどりつきました。 ここはどこだとたずねたところ、ウイーンだという答えが返ってきました。 わたしは空腹を覚えたので、レストランに入りました。 すると、そこには高校時代のガールフレンドがいました。 彼女は高校時代と全く変っていません。 また、つきあいましょうと約束しました。 それから、彼女は「ちょっとトイレ」と言って席を立ち、そのまま帰って来ませんでした。 1時間ほど待ちましたが、らちがあかないので、わたしはレストランの裏手に回ってみました。 そこは広い芝生になっていました。 遠くからボールが飛んできます。ゴルフ場です。 ここは危険だと察知したわたしは、空中に浮かびました。 どんどん上昇していきました。 ウイーンの街並みが一望に見渡せる高さまで上昇しました。 やがて徐々に高度を下げて、高速道路の上に着地しました。 高速道路は非常に高い高架で、建物ははるか下に見おろせます。 北へ行くとニューヨークという標識があったので、わたしはニューヨークへ行くことにしました。 高速道路上をとぼとぼと歩いていきました。 やがて右下に煉瓦造りの大きな建物が見えました。 屋上に「ニューヨーク州立大学」という看板が掲げてあります。 もうニューヨークまで来たのかと不思議に思いました。 それ以上に不思議だったのは、「ニューヨーク州立大学」の看板が日本語で書いてあったことでした。 スポンサーサイト
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